2020年9月、ウイング「綿の贅沢 オーガニック」が新登場。希少なオーガニックコットンを使ったやさしい肌ざわりをはじめ、保温性、吸湿発熱など多くの機能を備えています。クオリティをアップさせながらもお求めやすい価格を実現した開発の背景について、担当のふたりが語ります。
希少なオーガニックコットン混に6つの機能性をプラス
――新商品の特徴や開発のきっかけを教えてください。
富山 ウイング「綿の贅沢」シリーズではじめてオーガニックコットンを使用しつつ、さらに機能性をもたせました。肌側はオーガニックコットン100%、表側は伸縮性のある糸も配合した“機能性オーガニックコットン混インナー”という新しいカテゴリーのアイテムです。綿ならではのやさしい肌ざわりに加えて、吸湿発熱、保温性、ムレにくい、パチパチしにくい(制電性)、ストレッチの6つの特長があります。
細井 もともと綿を使用したインナーは、肌あたりを気にされる方にご愛用いただいています。商品開発にあたりあらためて調査を行ったところ、天然繊維だけでは実現が難しいあたたかさや生地の伸びがもっとあれば、というお声が届いたんです。
富山 また毎日使うものということで、低価格帯のニーズが大きいことがわかりました。これまでのウイングのインナーは3,000円前後だったのですが、社外の方を含む関係者のみなさまとウイングのインナーの今後の方向性から会話を重ね、無駄の少ないモノの流れや設計のアイディアを具体化し、1,800円(税抜 M・Lサイズ)の手に取っていただきやすい価格帯を実現することができました。
――オーガニックコットンはどのように選ばれたのでしょうか?
富山 綿は世界中でさまざまな種類があり、長さ、かたさ、含まれる油分が異なります。糸にして生地に仕立てたとき肌ざわりや機能性に影響するため、さまざまなタイプのコットンで開発を進めて比較しました。最終的に採用したのはインドのオーガニックコットンで、そのなかでも希少な超長綿を厳選しました。
細井 超長綿は一般的に、わたの長さが3.5mm以上あるものをさします。細くてしなやかな糸ができるので生地にしたときに肌ざわりがいいのが特徴です。本日お持ちしたこちらは綿から糸に加工する過程のスライバーという状態です。ぜひ触ってみてください。
――しっとり、ふわふわしていますね!
富山 ポリエステルやアクリルの化学繊維だとほとんど含まれていない水分が、天然の素材にはもともと含まれております。この上質なオーガニックコットンを使い、多機能で他にはない商品を目指しました。またものづくり活動を行う側の責任として、綿の生産時の環境負荷を軽減することや、そこで働く労働者の賃金や環境にも配慮し、オーガニックコットンを選択しました。
細井 肌に直接触れる内側はオーガニックコットン100%です。しなやかでやわらかな肌ざわりをぜひ実感していただけるとうれしいです。
従来より伸びがUPして、シルエットもすっきり
――今回、縫製やデザイン面もブラッシュアップされたとか?
富山 はい、そうなんです。まず肌あたりのよさを追求して、脇に縫い目のないサイドシームレス仕様にしました。さらに袖口と裾には、従来より30%以上伸びる縫い方を採用しています。モニターの方からも肌ざわりのやわらかさとともに、伸び感を最初に感じていただけました。
細井 アウターから見えにくいように首元の開き具合も改良し、縫製のラインの幅もすっきり見えるよう細くしました。より多くのお客様が手に取ってくださるように、デザイナーとパタンナーでディテールについて意見を出し合い設計を詰めていきました。
富山 これから寒くなる季節、保温性を感じていただければと思います。生地へ風合いや機能性を付加する後加工ではなく、綿由来の機能性で気になる静電気もおさえられるのもメリットですね。
――カラー展開について教えてください。
細井 オーガニックコットンのイメージを生かしたBE(ベージュ)、やさしい明るさのPI(ピンク)、使いやすいBL(ブラック)の3色をご用意しています。私自身も着用してみましたが、これまで化学繊維に不満を感じていなかったのに、いざ着てみるとやわらかくて物理的な温度だけではないあたたかみを、さらに感じました。
富山 モニターの方からは、あたたかさや伸び感の他に「すっきりしていて動きについてくる感じ」「しめつけ感がなく、ぴたっとしていてここちよい」という感想もいただきました。ぜひ、その着用感をお試しください。
-
細井真衣(ほそい・まい)
卸売事業本部 ウイングブランド インナーウェア商品統括部 商品営業部 商品営業三課
ワコール入社後、ウイングのニット・ランジェリー企画MDを担当。
-
富山恵介(とみやま・けいすけ)
卸売事業本部 ウイングブランド インナーウェア商品統括部 商品企画部 商品企画二課
ワコール入社後、技術、材料、開発、営業を経て現職(デザイナー)。
撮影/合田慎二