2017年にデビューした「薄い、軽い、涼しい」をうたったシリーズに、2019年の酷暑をうけて、翌年リブタイプを発売。1シーズンで6万枚を売り上げたリピーターの多い商品です。その人気に満足することなく、「どこよりも薄く、軽く」を目指してアップデートをはかるにあたり、今回も採用したスウェーデン生まれの「ポリジン加工」(※)。いま注目されるポリジン加工の魅力や商品への思い入れを、開発担当者が語ります。
※ポリジン加工とは、スウェーデンに本社を構えるポリジン社が開発した抗菌防臭加工技術。
汗悩みをサポートする夏用ニットインナーを改良
――布の向こう側が透けるくらい生地が薄いですね!
金村 そうなんです。とにかく薄くて軽いものを、というお声に応えるために、まずは生地の開発から始めました。最大の目標は、強度を確保すること。生地は薄くなればなるほど、ヨレやすく、破れやすくなります。そこで、撚り(より)をかけたり、シャリ味を出すことで、生地の品質を保つよう工夫しました。
プライス 見て触れて一瞬でわかるような、説明のいらないものが欲しいと思ったんです。こんなに薄くて軽いインナー見たことない! と言ってもらえるような。軽さだけでなく、肌離れのいいシャリ感も必要ですし、吸汗に速乾という汗対策も課題でした。
汗のにおい発生を抑制するポリジン加工とは?
――そこで、ポリジン加工の実力が発揮されるのですね。
プライス 薄い・軽いだけでなく、何か付加価値が欲しいと考え、今回のアップデートでも引き続き、抗菌防臭に効果が期待できるポリジン加工を採用したいと思いました。
下野氏 ポリジン加工は、塩化銀(Ag+)を有効成分とする抗菌防臭加工技術です。繊維製品の染色や仕上げの段階でほどこすことで、バクテリアやカビ菌の成長を抑え、汗のにおいの発生を抑制できます。現在、世界で500社以上のブランドパートナーと契約していて、靴のインソールやデニム、寝具やプラスティック製品などさまざまな素材に採用されています。
――それは素晴らしい加工技術ですね!
金村 その素晴らしい技術を採用させていただくにあたって、いろいろと工夫も必要でした。ポリジンはどんな素材にも使えますが、凹凸があるリブ生地に比べて無地はフラットな分、ポリジンが付きにくく…。また、生地が厚いと加工しやすいのですが、薄いと難しいため、温度設定や工程順序の変更など、加工プロセスを考慮して進めていただきました。
――お手入れについても教えてください。
プライス 試行錯誤を経て、こんなに薄くて軽いのに品質の安定した生地に仕上がりました。弊社の厳しい試験もちゃんとクリアしています。
下野氏 特殊な洗剤や消臭剤なしで常に快適さを維持できる“ステイフレッシュ”な下着! 男性用も欲しいくらいです(笑)。実は、最初に商品化した際に、600枚ほど購入して、店頭スタッフさんたちに配って試着とアンケートをお願いしたことがあったんです。
プライス 600枚も!
――みなさんの反応は、いかがでしたか?
下野氏 3日間着続けてくださいと頼んで、汗のにおいや着ごこちについてご回答いただきました。思った以上に、不快感がないと答えた方が多かったです。
金村 そうなんですね。
――ところで、今回発売される新商品は見た目にもとても涼やかですね。
プライス はい。今回は、夏の清涼感を意識したカラー展開になっています。
金村 ブルー系や紫系のいわゆる夏色ですが、「淡藤(あわふじ)色」「白藍(しろきあい)色」「紅掛花(べにかけはな)色」といった和名を採用しました。その名前からも涼しさを感じてもらえたらうれしいですね。また、無地のプレーンタイプは背中までフォローするようにするなど、お好みに合わせて選べるようにいろいろなタイプをご用意しました。爽やかなカラーと、驚くほど軽い肌ざわりを、ぜひ店頭で実感してみてください。
プライス この「ここちよさ」を知ってしまったら、もうほかのインナーには戻れないと思います!
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下野祐司
下野祐司 株式会社インターワークス(Interworks Asia Co.,Ltd.)代表取締役
1985年 関西学院大学商学部卒業
2004年 タイバンコクに商社Interworks Asia設立
2010年 スウェーデン・ポリジン社のアジアでの代理店事業開始
2017年 大阪市に株式会社インターワークス設立
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プライス美佐依
商品本部 第1ブランドグループ ワコールブランド商品営業部 商品営業二課
ワコール入社後、材料・生産管理を経験。その後、MDとして「アキュート」「ルーチェスト」の20代を中心としたブランドから、マチュア層以降に向けた「グラッピー」や、「ブライダル」「シモーヌペレール」などを経て2023年4月より「ワコール_ニット」のMDを担当。
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金村めぐみ
商品本部 第1ブランドグループ ワコールブランド商品企画部 商品企画課
ワコールに入社後、ボトムの設計を担当。その後、チーフデザイナーとして、マチュア層以降に向けた「グラッピー」商品や、ボトム、ショーツ、レッグウェアなどを担当。2021 年より「ワコール_ニット」のチーフデザイナーに。
撮影/石川奈都子
デザイン/WATARIGRAPHIC