開放感はあるのにズレ上がりにくい!「すそピタショーツ のびのびフィット」の秘密

語り/坂野敦子(デザイナー)、三岡佑規(MD)

長く愛されている「すそピタショーツ」のシリーズに、新しく「すそピタショーツ のびのびフィット」が加わりました。おしりをすっぽりおおい、動きに合わせてよく伸びることで裾がズレ上がりにくく、やわらかなつけごこちが特徴です。その機能性の秘密を担当者に直撃しました。

すそピタショーツ のびのびフィット

おしりをしっかりホールドするのが元祖「すそピタショーツ」

――まずはロングセラー商品の「すそピタショーツ」について教えてください。

坂野 2012年に登場した「すそピタショーツ」は、おしりの底からしっかり包み込む独自のパターン構造が特徴です(下の写真)。これにより、ショーツの裾がズレ上がる不快感を解消しています。年齢とともに体型が変化した女性のおしりをしっかり包み込みキープしてくれる安定感が魅力です。

2021年8月にプリント新しいカラーや柄が登場した「すそピタショーツ」。 2021年8月に新しいカラーやプリント柄が登場した「すそピタショーツ」。 「すそピタショーツ」のバック部分は、マチ裾部分から後ろ裾にかけて、独自のパターン構造を用いることで立体的におしりをすっぽりおおい、動いても裾がズレ上がりにくい。 「すそピタショーツ」のバック部分は、マチ裾部分から後ろ裾にかけて、独自のパターン構造を用いることで立体的におしりをすっぽりおおい、動いても裾がズレ上がりにくい。

坂野 おしりをしっかりとホールドしてくれるショーツがお好みの方にぜひ使っていただきたい商品です。

三岡 2021年夏までの9年間で累計237万枚、年間15~20万枚ペースで売れているロングセラー商品です。シンプルな無地のカラーが4色、プリントタイプはペイズリー調の草花柄・ドット柄・花柄の3パターンが加わり、これまでカジュアルだったデザインを、より大人の女性を意識してリニューアルしています。

三岡 佑規

「すそピタショーツ のびのびフィット」はおしりの動きに追随する一体成型のうしろマチがポイント

――新登場の「すそピタショーツ のびのびフィット」の特徴や、従来品との違いを教えてください。

坂野 長年販売している「すそピタショーツ」について、実際のターゲット層とマインドに乖離がないか、あらためて調査しました。その中で、10年前に比べて“開放感を感じるはきごこち”に共感する方が増加していることがわかりました。と同時に、“裾ズレやそれによっておこるおしりの段、おしりのハミ肉の悩み”は10年前と変わらず根強く残っていることもわかったんです。

三岡 「すそピタショーツ」は底面の接ぎ目(はぎめ:布と布を縫い合わせた部分)がおしりに添う構造になっています。この構造でしっかりとおしりまわりをホールドするため、おしり中心部への食い込みは少ないのですが、それゆえヒップや太もも周りがふくよかになってくると鼠径部(そけいぶ)がきついと感じてしまうかも…と推測しました。そこで新商品の「すそピタショーツ のびのびフィット」は<体型の変化に寄り添うようなやさしいつけごこち>と<裾ズレの軽減>の両立を目標に開発をスタートしました。

うしろのマチがよく伸びるのが最大のポイント。 うしろのマチがよく伸びるのが最大のポイント。 従来の「すそピタショーツ」(右)に比べて、さらに伸びのいい生地が特徴の「すそピタショーツ のびのびフィット」。 従来の「すそピタショーツ」(右)に比べて、さらに伸びのいい生地が特徴の「すそピタショーツ のびのびフィット」。

――「すそピタショーツ のびのびフィット」の機能性について教えてください。

坂野 この商品の最大の特長は、皮ふの動きの量に負けないくらいよく伸びるうしろマチです。一体成型と呼ばれるショーツの本体からマチまでをひと続きに編み立てる手法でこれを実現しました。

どんなに伸びのいい生地を使っても、ふつうのショーツのように布を接ぎ合わせてしまうと、その縫製の糸によって伸びが止まってしまいます。一体成型では接ぎ目なく本体からマチの部分までを編み立てるので、うしろマチの伸びを止めることなくおしりの動きについていくことができるんです。通常の編み方をした部分(身生地部分)に続いて、パイル(底辺部分)、リブ(後ろマチ部分)…と、生地の伸びに段階をつけているのもポイントです。この段階のつけ方も、いくつも試した結果、最終的にこのようにリブ部分がVの字(下の写真の赤線部分)になっているタイプが、動きにいちばん添うとわかりました。

皮ふの運動量に負けないくらい良く伸びるうしろマチ

三岡 脚ぐりのカットを脚の付け根より高い位置にして足さばきをよくすることで、“開放的なはきごこち”のニーズにも応えることができました。綿混のやわらかい素材感やほどよい生地の厚みもポイントです。

――2パターンのはき込み丈をご用意されているとか?

坂野 そうなんです。はき込み丈が短いタイプと長いタイプとで、3cm近く違いがありますので、お好みで使い分けていただければ。

2パターンのはきこみ丈からお好みで選択が可能。 2パターンのはきこみ丈からお好みで選択が可能。

――今回の開発にあたって、特に大変だったことはありますか?

坂野 通常より多くのモニターさんにご協力をいただき、本当に感謝しかありません。実験のときは、おしりに直に印をつけて、どこがいちばん伸びて、どう動くかを観察しました。階段の上り下りや屈伸したときなどに何センチ伸びているかを数値化したんです。いちばん伸びたのがおしりの底辺の部分でしたので、それに合わせてショーツをつくれば、運動への追随性をもたせられると考え開発を進めました。

三岡 通常の10倍くらいフィッティングしましたよね?

坂野 そうです。多い方だと、おひとりで計20回ものフィッティングにご協力いただきました。その苦労もあって、モニターさんの皮ふの伸びと一致した狙いどおりの商品ができたときは、感激しました! 社内でとったアンケートでは、「やわらかく包み込まれる感じがいい」という声が多かったです。

すそピタショーツ のびのびフィット

――カラー展開について教えてください。

坂野 全6色ご用意しました(下の写真)。ベーシックなベージュ(KA)に、他のブラジャーとも連動しているピンク(SP)やグレー(GY)、クリーム(IV)やブラック(BL)も外せないカラーです。トレンドカラーからは、ブルー(BU)を採用しました。

カラー展開は全6色

――お悩みや好みによって選べる幅が広がったということですね。

三岡 はい。おしりの下垂や下半身太りなど、体型の変化を感じ始めた方には「すそピタショーツ」 のシリーズをぜひ試していただきたいです。

坂野 ホールド感があるショーツをお好みの方は従来の「すそピタショーツ」を、おしりの形に合わせてフィットするここちいい着用感を好まれる方は「すそピタショーツ のびのびフィット」をお試しください。からだを休ませたい日の着用もおすすめです。30~40代の忙しくされている女性にリラックス感を感じていただければ何よりです。

  • 坂野敦子
  • 坂野敦子(さかの・あつこ) 第1ブランドグループ ワコールブランド商品営業部 商品企画一課
    2005年入社。ランジェリーパタンナー、サルート、パルファージュ、ラゼ等のデザイナーを経て2020年よりショーツのチーフデザイナーを担当。
  • 三岡佑規
  • 三岡佑規(みつおか・ゆうき) 第1ブランドグループ ワコールブランド商品営業部 ニット・ショーツ営業課
    2008年繊維専門商社を経て、2012年ワコール入社。
    入社後カタログ営業課アウターMDとして、アウター製品のものづくりに関わった後、ワコールブランド商品営業部へ異動。
    アルラ、グラッピー、ブライダルMDを経て、現在、ニット、ショーツの担当MD
取材・文/シキタリエ
撮影/合田慎二