魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

26 May, 2014

日常を輝かせる130周年のハンロ

テラスから眺める風景がブーム。

 屋外の空気が心地よい季節です。4月から5月にかけて、テラスやオープンエアのラウンジで過ごす機会が例年になく多かった気がします。昨日打ち合わせをしたのはテラス席がメインのレストランだったし、一昨日は入居者用のルーフテラスから360度の夜景が楽しめるオフィスビルでした。最近は住宅の屋上からもパーティの歓声がきこえたり、海外旅行好きの友人が「今年の連休は自宅のテラスで本を読んで過ごした」などと言っていて驚くことも。
 そう、明らかに今「眺めのいい開放的なロケーション」が流行しているのです。海辺のテラスハウスでルームシェアする男女6人を追うTVドラマ「テラスハウス」が火をつけたのでしょうか。前述のオフィスビルの高層階に入居する会社では、まさに6人の男女が楽しそうに仕事をしていました。私も仕事で伺ったはずなのに、いつのまにかビルと海を見渡す絶景の中での飲み会になり、気持ちのいい時間を過ごさせてもらいました。

 眺望ブームは世界的なものなのでしょうか。スイスの小さな町リースタルで生まれた創業130年のランジェリーブランド、HANROの2014年秋冬のテーマは「ニューヨークのスカイライン」でした。スカイラインとは、山や高層建築物が空を区切ってつくる輪郭やシルエットのこと。大判のコレクションカタログの写真の多くは、摩天楼を背景にビルの屋上やテラス、ペントハウス風の室内でモデル撮影されたものでした。
 ニューヨークの街並みを、曇り空のスカイラインを中心に切り取った写真は、そのまま今シーズンのHANROの色見本のよう。殺伐とした都市のダイナミズムは、HANROの極上の着心地を際立てているようです。スイスのブランドがなぜと最初は思いましたが、主張しすぎない、さりげない上品さが身上のラグジュアリーブランドに、ニューヨークの風景は思いのほかしっくりきていたのでした。

仕事着に何を選ぼうか?

 HANROのさまざまな部署で働く人へのインタビューに、最新コレクションのイメージ映像を挿入したブランド紹介ムービーを見る機会もありました。その中で主に語られていたのは、創業130年の歴史への敬意、そして「変わらないこと」の強さでした。HANROはヨーロッパでの生産にこだわっていますが、ファンはニューヨークをはじめ世界中に存在します。変わらぬ価値は、多くのセレブリティの心をつかんでいるのです。
 個々のアイテムを見ると、ウールやシルクカシミアなどの自然素材がおりなす洗練された陰影と立体感が際だっていました。ミルキーなテラコッタ色やアーシーなトーンは都会的。肩や襟もとのシャープなカットや独自のモチーフには、ニューヨークのスカイラインの風景が凝縮されているようです。上質な糸を使い、生地からの開発を手掛け、売れ筋より本質を追究する姿勢がHANROの人気の秘密なのだと思いました。

 ムービーでは、デザインチームの女性たちの姿が印象的でした。彼女たちはHANROを着て、HANROをデザインし、HANROでの仕事の喜びを語っているのです。これほど幸せなことはないですね。いい仕事をするための服のあり方について考えさせられてしまいました。女性が職業上、着なければいけない服というのは、見た目重視で、必ずしも心地よいものではないことも多いから。寒かったり、痛かったり、歩きにくいこともある。
 それでも好きな服を選べるのなら、幸せですね。ある美容師さんは、ライダーズジャケットを着てカットをしてくれます。革が固くて動きにくいのだけど、どうしても仕事着にしたいのだと。出勤後、わざわざライダーズジャケットに着替えるのです。ただしインナーは着心地のいいウェアがマストだそうですよ。すてきな靴がすてきな場所へ連れて行ってくれるように、HANROが上質な日々の喜びを私たちにもたらすことは、確実です。

■ハンロ:https://www.wacoal.jp/import/hanro/

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