「カジュアル」と「だらしない」は違う。
2015年春夏のランジェリー・トレンドは、前回ご紹介した「カラフル&アクティブ」とともに、見逃せない流れがあります。それはボーダレス化現象。近年はランジェリーとビーチウェア、スポーツウェア、ラウンジウェア、ナイトウェアなどの境界が曖昧になっていますが、さらにそれが加速。わかりやすいもので例えればフード付きタオル。これはタオルであり、屋外フェスで着るものであり、バスローブやパジャマに近いデザインのものもあります。
来シーズンは、ランジェリーや水着に羽織るカバーアップや、スポーティなブラレットなど、アウター的なアイテムが続々登場。結局のところ下着は、カジュアルな実用ウェアに向かっているのでしょうか? しかし、もともとお洒落とは、カジュアルな実用ウェアに対するドレスアップのことだったはず。ガーターベルトのような、ランジェリーでしかありえないセクシーなアイテムこそが、身も心も引き締めてくれるお洒落だと思うのですが......。
今、全世界的にカジュアル化しているファッションの傾向について『人生は服、次第。』の著者、政近準子さんは「カジュアルとだらしないのは違います」ときっぱり。クール・ビズで「だらしない」ほうへ転びがちなおじさん世代を例にとり「基本に立ち返って考える必要があります。何をしに会社に行っているのか。涼みに行っているわけではありません。仕事です。それにふさわしい格好かどうかが、最優先事項です」と手厳しい。
カジュアルだからお洒落じゃないわけではなく、着る人の意識しだいなのですね。ファッション誌を席巻するナチュラル志向についても、普通の人がマネをすると、無難、地味、老けにつながりますが、気構えひとつで知的に装うことができるのだと。要は無造作なお洒落にも頭を使うこと。皆がやっているから取り入れるのではなく、自分の考え方を持ち「何を持つか何を持たないかを決めていく」ことで人生は底上げされるのです。
実用的なアイテムに手を抜かない!
前述の本には「見た目と価格で〝とりあえず〟買ってしまったインナー類が、実はおしゃれの落とし穴になってしまう」危険性についても書かれています。ジャケット、スカート、パンツなどメインアイテムのセレクトには時間も労力もかける人が多いけれど、ジャケットの下に着るものは手を抜いてしまう。この指摘は鋭いですね。見えるインナーにも手を抜く人が、見えないインナーである下着に時間と労力をかけるはずがありません。
実用性さえ満たせればと適当に下着を買う行為は、たしかに知的ではないですね。買い方自体が既にだらしないし、かといって高級品をとりあえず買うというのも知性からは遠い。大切なのは考え方を持つことなのです。今、意識的に選ぶなら何がいいかなと考え、思い浮かんだのがシモーヌ・ペレールのTOP MODEL。レースとマイクロファイバーを使ったシェイプウェアのシリーズで、知性と機能とエレガンスを満たすランジェリーだと思います。
それからもうひとつ、面白いものを見つけました。ウンナナクールのロングハラマキで、これはまさしく来シーズンを先取りするカラフル&アクティブなカジュアル実用ウェア。単にハラマキとして使うのはもったいなくて、ベアトップワンピース、ロングスカート、肩掛けケープなどに変身します。モコモコの縁部分から裏の色が見えるのが可愛いし、裏はシンプルなストライプ柄。自分に似合うものを簡単に知るには最適のアイテムではないでしょうか。
政近準子さんが学院長を務めるパーソナルスタイリスト養成学校では、自己紹介の前に、年齢や職業など互いの印象をシートに書き合うセッションをやるそうです。自分はこう見えているはずという思い込みと、指摘される印象がかけ離れていることに、立ち直れないほどショックを受ける人もいるとか。ファッションの道を極めるには、厳しく指摘してくれる存在が必要なのでしょう。でも優しい人がやっぱりいいな、と思う私はまだまだですね!
■SIMONE PERELE(シモーヌ ぺレール):https://www.wacoal.jp/import/perele/
■ウンナナクール:http://www.une-nana-cool.com/