魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

18 Jun, 2015

水着が街着に近づいた

三愛水着60周年の楽園水着ショー。

 青山のスパイラルガーデンで新作水着のショーを見ました。ワコールが三愛グループから水着事業を取得し、設立した新会社「Ai(アイ)」の晴れ舞台です。水着メーカーと素材メーカーの2015年キャンペーンモデル4人が集結。木下優樹菜や菜々緒を輩出した「三愛水着イメージガール」の朝比奈彩、「東レキャンペーンガール」の宮沢セイラ、「旭化成グループキャンペーンモデル」の山下永夏、「JSAキャンペーンガール」の横町ももこです。
 今年注目のトロピカル柄や、上下異なる色柄の水着をまとい、滝の楽園をイメージしたランウェイに登場した彼女たち。弾けるような健康美に会場からは「かわいい!」という声が飛び交っていました。朝比奈彩さんが最初に着た「透けない白のジャカード×ヴィンテージ花柄」のビキニは今年のいちおし。バナナモチーフのフレアトップやリバティプリントのビスチェ、胸元の紐を引っ張るとバストアップができるビキニなども要チェックです。

 ふだんランジェリーのショーを見ることは多いですが、水着のショーは新鮮。とくに今回は、自然の水や光を表現したステージでもあり、屋外の解放感がいっぱい。セクシーさよりはフィットネス感や街着のような可愛い着こなしが中心でした。会場では諏訪綾子さんプロデュースのブルーのカクテルやフードがサービスされ、オレンジペコーによるボサノヴァのライブも。スパイラルガーデンは、5月とは思えないリゾート空間と化していました。
 1955年、三愛が銀座4丁目交差点角の銀座店で水着の販売をスタートして60年。当時は海水着と呼ばれ、羊毛をメリヤス編みした素材が一般的だったそう。水で縮んだり、色落ちしたり、虫に食われやすかったというエピソードには隔世の感がありますね。サイケデリックが流行した1968年には、銀座店の前で「前代未聞の街頭水着ショー」を開催。当時の朝日新聞写真ニュースには「歩道はみる間に男性諸君でビッシリ」なんて書かれています。

ファッションもメイクもスポーツ化している。

左)リバティプリントのビスチェ。ハイウエストのパンツと合わせれば今年らしい街着に。
右)胸元の紐を引っ張るとバストアップができるビキニ。大きな花柄がリゾート気分。

 最近は老若男女、スポーツブームですね。ダイエット志向も加速し、なんらかのスポーツをやっている人が増えました。ひと昔前までは「何か運動してる?」という会話だったのが「どんな運動してる?」になってきたような。アウターのスポーツ化・カジュアル化はとまらず、街ではスニーカーやぺたんこ靴、スポーツサンダルばかり見かけます。ハイヒール好きの友人は「ヒールをはいているだけで、やる気満々だねと言われる」と笑っていました。
 私も毎週、運動をする日は、スポーツウェアで仕事場に行くようになりました。アウターのスポーツ化のせいで、ふだんの日との違いもほとんどないという事実。見えてもいいスポーツタイプのブラは、本当にラク! この分だと、真夏には水着のトップスを着て行くようになるかもしれません。水着と下着の距離は近づいているのでしょうか。海外では両方が同じ売場で扱われることが多いですが、日本でもその傾向は進んでいきそうです。

 メイクもスポーツ化(=すっぴん化)しています。発端は、スキンケアのみの「メイクレス」で春夏コレクションのランウェイに登場したマーク・ジェイコブスのモデルたち。メイクアップアーティストの吉川康雄さんは著書『生まれつき美人に見せる』で、パウダー中心のメイクが肌のツヤを消し、女性を疲れさせて見せると指摘しています。たしかに肌本来のツヤがなければ、女性はノーメイクの若い男性の美しさに負けてしまいそうですね。
 今年、F1のモナコグランプリでは「グリッドガール」の代わりに「グリッドボーイ」が起用され話題となりました。東レは2006年に「水着キャンペーンボーイ」の起用実績があるそうですが、復活の日は近いのでしょうか。個人的には、水着のショーも下着のショーも、女性モデルたちのステージに男性が1人だけ登場して花を添えるくらいが楽しいのではないかと思います。花を添えるという言葉は、昔は女性限定で使われていたような気もしますが。

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